こんにちは、美容クリニックで看護師として働くヨッピーです^^
豊胸術における看護師のオペ介助シリーズ第3弾:豊胸バッグ挿入です。前回のヒアルロン酸注入の続きですね。
ここでは豊胸バッグによる豊胸術のメリット・デメリット、オペ中の看護師の介助について詳しく解説していきます。
ヨッピー
Contents
豊胸バッグ挿入による豊胸術
バッグ挿入による豊胸術とは、お客さんの腋窩からメスをいれて、大胸筋下等に豊胸用のバッグを挿入してバストUPをする施術です。
豊胸術の中で最も人気がありメジャーなのが、この豊胸バッグ(人工乳腺・インプラント)の挿入術です。
豊胸バッグ挿入による豊胸術のメリット
- 1度の手術で半永久的な豊胸効果が得られる
- 豊胸バッグのサイズを自由に選ぶことができる
- オペを受けた後は日帰りが可能
1度の手術で半永久的な豊胸効果が得られる
また他の施術では、手術後のヒアルロン酸の吸収率や脂肪の定着率がキーポイントになりますが、バッグであればそのあたりの問題もありません。
豊胸バッグのサイズを自由に選ぶことができる
手術費用自体も安い価格設定の美容外科クリニックでは30万円前後からとなっており、他の2つの施術と比べると、かなりお手軽と言えます。ただし、美容外科クリニックによっては100万円以上の料金設定をしている場合もあります。
オペを受けた後は日帰りが可能
ギブス等も大抵必要ありませんし、ダウンタイムも思ったそれほど長くはありません。
一般的なイメージとして、バッグ挿入による豊胸術は大きな手術と思われがちで、“何日も入院が必要”とか”何ヶ月もギブスを巻いて包帯ぐるぐる巻きにされる”というイメージを持っているお客さんも未だに多いです。
帰宅後、お客さんは自宅安静になりますが、痛みに強いお客さんであれば手術の翌日から家事や事務仕事などに精をだす方もいらっしゃいます。
腫れやむくみを防ぐために、術後に胸にテーピングを施す事はありますが、それも1週間ほどで外す事が可能です。ワイヤー入りのブラジャーも術後1ヶ月くらいで装着可能となります。
豊胸バッグ挿入による豊胸術のデメリット
- バッグを挿入した傷痕が目立つ可能性がある
- 触り心地には不自然さがある場合も
- 身体に馴染ませるためのマッサージが痛い
- 合併症が起きる可能性がある
バッグを挿入した傷痕が目立つ可能性がある
傷跡はワキのシワに同化してまぎれるため、目立ちにくいとは言われていますが、実際には結構はっきりと残ることが多いです。ケロイド体質のお客さんであれば、醜いみみず腫れのような傷が残ることもあります。
安易に傷は全然残りませんよと断言する美容クリニックもありますが、女性にとってはワキといえど身体の大切な一部分ですよね!?
そのため私個人的には、「傷跡が目立つ可能性もあります」と手術前にはっきりとお客さんに伝えるクリニックのほうが誠実であり、信頼できると考えています。
触り心地には不自然さがある場合も
手術後数年が経過して、バッグと身体がなじんでくると改善してくる場合が多いのですが、手術直後などは胸の皮もパンパンにはち切れそうな状態でバッグだけがぽっこり浮いたような状態になるお客さんも多いです。
こればかりは実際に豊胸バッグを挿入している方の胸を触ってみるしか、感触を確かめる方法はありませんが、男性が触ってもすぐに”偽物だ!”と気付かれる程度と思っていただいてOKかと思います。
もちろん美容クリニック側としてはお客さんに手術をして頂かなければ売上になりませんから、「自然な触り心地ですよ」「バレないですよ」とお勧めしますが、それを丸ごと鵜呑みにすると後々お客さんは後悔することになるかもしれません。
看護師は実情を知った上で、お客さんに上手に情報を伝えていく必要がありますね。
身体に馴染ませるためのマッサージが痛い
もしも、マッサージを怠った場合バッグが動くスペースがなく身体の中で固まってしまい、身体が横になってもバッグだけが横に流れずはっきりと隆起したまま、というような不自然な状態になってしまいます。
このマッサージですが想像以上にお客さんにとって苦痛をもたらします。手術では身体の中の筋肉などを剥離してそのスペースに豊胸バッグを挿入しています。そのため、マッサージを行うことは、身体の中の傷を引きちぎるような強烈な痛みを伴います。
手術自体の痛みや苦痛に加えて、手術後もマッサージにより大きな苦痛が生じるという事がバッグ挿入による豊胸術の最大のデメリットと言えます。
また、手術後はお客さんはしばらく起き上がったり、腕を上げたりといった大胸筋をよく使う動きが難しい状態になります。大胸筋を使う動きをすると、身体の中の傷が大変痛むため、これらの動きが苦痛となってしまうのです。
そのため、お仕事によってはしばらくお休み、または、仕事内容の変更が必要です。
合併症が起きる可能性がある
これらはバッグ挿入の手術をしたお客さんの1割程度に現れる症状で、現在のところ完全に防ぐ方法は見つかっていません。
軽度であれば問題ありませんが、重度の場合は最悪再手術となります。その際は、手術費用は病院が負担してくれる場合がほとんどだとは思いますが、お客さんにとっては1度味わった苦痛をもう1度味わう事は地獄です。
そういったリスクをある程度覚悟して手術に臨まなければならないという事が、バッグ挿入による豊胸術の短所といえるでしょう。
逆にオススメできないとすれば、
- メスを身体に入れることに抵抗がある方
- 異物を身体に入れることに抵抗がある方
- 身体を使う職業で且つお仕事の休みがとりにくい方
また、触り心地などの点から他人に絶対バレたくないという方も慎重な検討が必要です。
日常生活レベルで他人に豊胸がバレるという事はまずありませんが、友人と温泉旅行に行った際や彼氏に触られた際などにはバレる危険性もあります。
そういったリスクもあるという点を受け入れられない方は、バッグ挿入による豊胸術には不向きかと思います。
豊胸バッグ挿入による豊胸術中の看護師の役割や介助
施術説明ポイント
相場料金 | 30~180万円 |
持続期間 | 永久的 |
触り心地 | バッグの種類や挿入部位にもよるが自然とは言えない |
施術所要時間 | 30分~2時間 |
麻酔の種類 | 全身麻酔・硬膜外麻酔・静脈麻酔・局所麻酔 |
ダウンタイム | 術後1週間はテーピング、1ヶ月後からブラジャー可、1ヶ月程度は日常生活に支障あり(痛みの程度による) |
通院有無 | 1週間以内に再診・抜糸、その後も数ヶ月に1度のペースで数年間は検診あり |
合併症 | カプセル拘縮・リップリング(発生頻度は約10%)※いずれの場合も最悪の場合再手術 |
入浴 | 3日後から傷口に防水テープ等を貼れば可、それまではシャワーのみでワキは濡らさない |
施術前の準備
施術の準備についてですが、手術で必要な医療用具はパックにされてまとめて滅菌されていますので、準備に手間取ることはありません。
滅菌の期限が切れていないかどうかだけは、しっかりと確認しておきましょう。
必要なモニターや、使用するガス類が使用可能な状態になっているかは前日までに確認しておきましょう。使用する点滴類も前日に準備しておいて、当日は開封していくだけの状態にしておいたほうが慌てずに済みます。
また、バッグによる豊胸術の場合、お客さんは腕をあげてバンザイをした体勢で手術を受けて頂くことになるため、ベッドに腕用の台は装着しておきましょう。
豊胸用のバッグについては事前のカウンセリングで使用するものが決定している場合と、当日に医師とお客が改めて相談して決める場合があります。
必要なバッグが確保できているかは、手術の1週間前には必ず確認しておきましょう。
豊胸用バッグの種類については、美容クリニックで使うバッグの種類のページで解説しているので、余裕があれば読んでみてください。
<参考>【豊胸編・豊胸バッグ挿入】美容クリニックで使うバッグの種類在庫が品薄になってきていたら、医師と相談して発注するバッグの種類や大きさ、数などを決め、発注していきましょう。
施術中の看護と介助
まず、麻酔についてですが、豊胸バッグの挿入手術は美容クリニックによって使用する麻酔方法が異なります。
主な麻酔方法としては、
- 全身麻酔
- 硬膜外麻酔
- 静脈麻酔
- 局所麻酔
があり、これらを組み合わせて手術を行っていきます。
どの麻酔方法であっても、看護師にはお客さんのバイタルサインのチェックと麻酔中の合併症への対応が求められます。
例えば、全身麻酔や静脈麻酔ではお客さんの呼吸状態が一時的に悪くなる事も想定されるため、酸素の量を適切に調節したり挿管介助の技術なども必要となってきますよね。
手術中は間接介助の看護師が心電図モニターと血圧の変動も常にチェックして記録し、もし変化があれば医師に連絡して麻酔の量や点滴する薬剤を変更してもらうことも必要です。
そのため、どの程度のバイタルサインなら正常の範囲で、どの程度の値になったら対応が必要かといったことも看護師がしっかりと理解し把握しておくことが重要です。
正常の範囲はお客さんの既往歴等によっても異なりますので、事前の情報のアセスメントも非常に重要ですね。
例えば、喘息の既往があるお客さんであれば、若い女性であっても多少SPO2は低いことが想定されます。
そんな中で「SPO2の値がいくつ以下になったら危険か」「どういった呼吸状態になったら危険か」という事は事前に理解しておくことが重要です。
施術中、医師は術野に集中するためモニターを見る暇がないことも多いです。
そのため、看護師がきちんとモニターはチェックして、早めに医師に異常を知らせることが必要です。
間接介助になると、お客さんのバイタルが乱れた際の対応には応用力が求められますので、看護師としての総合力が試されます。
急変対応時のプロトコールやマニュアルもきちんと頭に入れた上で、その場に応じてお客さんの状態を判断していかなければなりません。
基本的には医師が指示をしてくれますので、心配しすぎる事はありませんが、いざという時に冷静でいられるよう日頃の勉強と急変対応の訓練は怠ないようにしましょうね。
また、医師の直接介助の看護師となった場合には手術全体の流れを見て、必要な医療器具を素早く的確に医師に手渡していくことが求められます。
この場合は、バイタルサイン等のチェックは他の間接介助の看護師に任せて、自分は直接介助だけにある程度集中してOKです。
この直接介助の看護師の動きが悪いと手術のテンポが悪くなり、医師も大変手術がやりにくくなってしまいます。そのため、1番プレッシャーがかかる役割がこの直接介助の看護師です。
しかしながら、手術の流れさえ把握しておけば、準備された医療器具を順番に医師に手渡すだけなので、そう難しい技術は不要です。慣れるまでは大変ですが、慣れてしまえばこの直接介助が楽という看護師も多いですね。
アフターフォロー
手術が終わってからも1時間くらいはモニターをお客さんに装着したままで、経過を観察していきます。点滴も維持液と痛み止めと抗生剤を医師の指示で入れ替えながら続けます。
お客さんの意識が戻って、医師からの許可が出ればモニターや点滴を外していきます。
意識が戻ると同時に痛みを感じるお客さんも多いため、可能であれば内服の痛み止めも飲んでもらうと良いでしょう。
また、必要があれば痛み止めの座薬なども積極的に利用して、お客さんの苦痛軽減に努めていきます。
手術時間によっては尿管を入れていることもあるかもしれませんが、バッグ挿入による豊胸術の手術時間は概ね30分~2時間といったところなので、基本的には尿管は入れないことが多いです。
そのため、お客さんの意識がはっきりしてきて歩けそうであれば、トイレを促してみます。術後はじめて立ち上がる際はふらつきがでたり起立性低血圧を起こしやすいので、転倒しないようしっかりとお客さんを支えます。
トイレまで問題なく往復できるようであれば、いよいよ帰宅も可能です。
目安としては2回トイレに問題なく行ければ、タクシー等で帰宅してもらって大丈夫です。
スムーズにお客さんが帰宅できるように、タクシーの手配や身支度のお手伝いは積極的に行いましょう。
最後に、病院によって異なりますが、お客さんが帰る前にバストにギブスやテーピングを施します。この際医師がお客さんと一緒に、帰宅後の注意事項等を確認していきますので看護師も同席します。
処置が終わったら、お客さんに不安な事やわからない事がないか確認し、内服薬の説明や異常があったときの対応・連絡先等の確認をしていきます。
痛み止めの座薬が処方される事も多いので、座薬の入れ方や注意点は1度しっかりと説明しておきましょう。
バッグ挿入による豊胸術の場合、通常1週間以内に1度、経過観察や抜糸のためにお客さんに再来していただきます。また、その後も定期的に数年は経過観察のため来院してもらうようにしている美容クリニックが多いです。
ヨッピー