【脂肪吸引編・オペ介助】美容外科/美容皮膚科で働く看護師のオペ介助

【脂肪吸引編・オペ介助】美容外科/美容皮膚科で働く看護師のオペ介助

こんにちは、美容クリニックで看護師として働くヨッピーです^^

前回、脂肪吸引に関する概要(特徴や客層、人気部位など)を紹介しました。

今回は具体的に看護師がおこなう脂肪吸引の事前準備オペ介助について解説していこうと思います!

脂肪吸引施術中の看護師の役割や介助

脂肪吸引施術中の看護師の役割や介助

顔の整形手術の場合はカウンセリング当日にオペになる事も多いのですが、脂肪吸引の場合は、ほぼ確実にカウンセリング後に日を改めての手術となります。

なので、手術の準備は前もって前日にゆっくりと落ち着いてできることが多いです。

ヨッピー

看護師にとっては安心ですね。

施術説明ポイント

相場料金 20~100万円
施術所要時間 1~2時間
麻酔の種類 全身麻酔・硬膜外麻酔・静脈麻酔・局所麻酔
ダウンタイム
  • 脂肪吸引した部分には筋肉痛程度の痛みあり
  • 痛みが強い場合最大1ヶ月程度日常生活に影響あり
  • 内出血・腫れは数日~数週間続く
  • 内出血・腫れは数日~数週間続く
  • クリニックによっては腫れ・むくみ防止のサポーターの装着を推奨
通院有無 抜糸または経過観察で1週間後に再診、その後は定期健診をおこなう美容クリニックもあり
合併症 皮膚が凸凹になる、たるみが出ることがある
入浴 シャワーは創部を濡らさなければ当日より可、入浴は抜糸後または1週間後より可

施術前の準備

手術道具を取り出して滅菌期限を確認する

脂肪吸引の手術に使用する道具は、他の手術の道具と同様にセットにされてパックで滅菌されている美容クリニックが多いです。

なので手術道具自体の準備はそのパックを取り出しておくだけでOK。

脂肪吸引に使用する機械は美容クリニックそれぞれで異なりますが、きちんと正常に作動するかどうか前日までに必ず確認しておきましょう。

また、使用するカニューレも手術するお客さんや脂肪吸引をする部位によって異なってきますので、医師に確認して必要な分を準備しておくようにします。

脂肪吸引の手術は症例数が多くはないので、手術の間が空くと手術道具の滅菌期限が切れていることがあります。

滅菌期限が切れた道具は不潔ですので、(当たり前ですが)手術に使用することができません。

手術に使用する全ての手術道具の滅菌期限が期限内であるかどうか、必ず1つ1つ確認して期限切れのものが無いように注意が必要です。

ヨッピー

特に脂肪吸引の施術が少なくなる夏は、手術道具が期限切れになってしまう可能性も高くなってくるので注意しましょう。

手術室の準備をおこなう

手術室の準備をおこなう
道具の準備が終了したら、手術室の準備をしていきます。

脂肪吸引の手術は朝一番にすることが多いので、手術室の準備も前日から行っておくことが出来ます。

準備と言っても、

  • 麻酔用のガス類の補充・動作確認
  • 手術用ベッドの確認
  • 部屋の清掃
など簡単なものです。

ヨッピー

脂肪吸引の機械を普段別室に置いている美容クリニックの場合は、前日の時点で機械も移動しておくと当日慌てずに済みます。

脂肪吸引で使用する麻酔の種類は各美容クリニックの方針やお客さんの希望によって異なります。

主な麻酔方法として

  • 全身麻酔
  • 硬膜外麻酔
  • 静脈麻酔
  • 局所麻酔

があり、これらを組み合わせて手術を行っていきます。

どの麻酔を使用するか確認して準備するようにしましょう。

施術中の看護と介助

施術中の看護と介助

オペ前の基本準備をおこなう

STEP.1
お着替え
脂肪吸引術当日は、お客さんがご来院したらまず術衣に着替えたり、お手洗いを済ませて頂いたりといった準備をしてもらいます。

美容クリニックによっては導尿バルーンを入れるところもあるかもしれませんが、手術時間が短く済みそうな場合は入れないことも多いと思います。

導尿バルーンは入れたことのある看護師さんが多いと思いますが、自信がない場合には前日にシュミレーションして練習しておくと安心ですね。

ヨッピー

1人でやるよりも2人でやった方が作業もスムーズですので、お手伝いしてくれる看護師を事前にお願いしておくのも良いと思いますよ。
STEP.2
写真撮影
お客さんの着替え等が済んだら写真を撮っていきます。

美容クリニックによっては写真撮影しないところもありますが、多くのクリニックでは手術前後のボディラインを確認するため症例写真を撮影しています。

STEP.3
点滴のルート確保
撮影が終わったら点滴のルートを確保していきます。点滴は手術中に抜けると麻酔などにも影響し大変ですので、抜けることないようにしっかりと固定しておきましょう。
STEP.4
バイタルチェック
最後にモニター類を取り付けて、バイタルサインのチェックを行っていきます。

使用する麻酔の種類にもよりますが、バイタルの状態によっては手術できないこともあります。バイタルサインは看護師が責任をもってしっかりとチェックしておきましょう。

もし、異常があればすぐに医師に報告して指示をもらうようにします。

STEP.5
デザインの最終確認
お客さんの身の回りの準備が済んだら医師を呼んでデザインを行っていきます。

吸引する脂肪にマジックやマーカーで大まかに印をつけてお客さんと最終確認を行っていきます。

カウンセリング時に吸引する脂肪の部位は確定していますので、ここでは最終的な脂肪の状態のチェックとお客さんのご希望の確認のみ行います。

麻酔をかけてオペ介助をおこなう

麻酔をかけてオペ介助をおこなう
デザインが済んだらいよいよ麻酔です。

麻酔は医師が管理してくれるので、看護師はお客さんのバイタルサインに変化がないかどうか集中してチェックしましょう。

ここからの動きは看護師が

  • 直接介助
  • 間接介助

のどちらになるかで変わってきます。

間接介助の場合

清潔な範囲には触れられませんので、医師と直接介助の看護師のサポート、お客さんのバイタルのチェックにまわることになります。

直接介助の場合

医師に手術道具を手渡したり、手術道具に付着した血液を拭き取ったりといった術野付近の作業の手伝いをしていくこととなります。

どちらの役割になったとしても、慣れるまでは動き方が分からずバタバタしてしまうと思いますが、慣れてしまえば難しいことはありません。

清潔操作に自信がない看護師さんも多いかもしれませんが、普段から顔の整形手術などである程度慣れることができるので、美容クリニックに勤めて半年もすればバッチリ清潔操作もできるようになりますよ!

美容クリニックに転職を検討している看護師さんにとっては、手術室での看護は未知の領域で、怖さや不安も多いと思います。

ですが、必ず誰でもできるようになるので安心してください。

教育体制はしっかりしている美容クリニックも多いので、分からないことは一から丁寧に教えてもらえますよ。

【研修充実の美容外科/美容皮膚科クリニック】看護師求人を見極めるポイント【研修充実の美容外科/美容皮膚科クリニック】看護師求人を見極めるポイント

具体的な看護師のオペ介助

具体的なオペ介助

間接介助の場合

具体的な手術中の看護師の動きですが、間接介助の看護師となった場合には、

  • 手術室の不潔領域のお仕事
  • お客さんのバイタルサインのチェック
  • 麻酔の合併症への対応 など

たくさんの業務を並行して行うことになります。

手術室の介助に不安のある看護師さんの中には直接介助より間接介助の方が簡単そう・・・と感じている人も多いかと思いますが、意外と間接介助の方が難しいお仕事や応用力を求められます。

脂肪吸引の手術では麻酔を使用しているうえ、脂肪を大量に吸引していくためお客さんのバイタルが変動しやすくなっています。

麻酔の影響で呼吸が不安定になり易い他、脂肪を吸引していることに関連して血圧も安定しないことが多いです。

その為、バイタルが変動した際は直ちに医師に報告し指示を仰ぎ、適切な処置ができなければなりません。

具体的には、

  • バックバルブマスクの操作
  • 挿管介助の技術
  • 緊急時の薬剤投与のプロトコールの知識 など
が求められます。

そういった緊急の事態が起こることは美容クリニックの手術ではまずありえませんが、実際に死亡事故なども過去には起きているため、看護師にはその技術やスキルは必要です。

ヨッピー

大変ですがしっかりと勉強して、緊急時には自信をもって対応できるようにしておきましょう。
直接介助の場合

直接介助の看護師となった場合には、清潔・不潔に注意して医師が手術をし易いように介助を行っていきます。

脂肪吸引術の場合は豊胸術のようにメスで大きく身体を切開することはないので、使用する手術道具の種類も比較的少なく作業は覚えやすいです。

難しい点はカニューレの太さや長さが様々あるので、吸引する部位や深さによって適切なカニューレを選択して医師に手渡していく判断力が求められることくらいです。

しかし、医師によってはカニューレを指示してくれることも多く、間違っていたとしても「もう少し細いの」などと指示をもらえる為、その通りのものを手渡していけば問題はありません。

慣れてくると直接介助のお仕事は楽しく、自分の頑張り次第で手術のスムーズさに影響も出るためやりがいもあります。

医師からも信頼されるようになってくると、美容クリニックの看護師としての自信もついてきますよ!

ヨッピー

直接介助は最初のハードルが高く感じるかもしれませんが、美容クリニックに転職を考えている看護師さんには是非チャレンジしてもらいたい分野ですね^^

脂肪吸引の手術はお客さんの体の目立たない場所に穴をあけてそこからカニューレを入れて脂肪を吸引するだけですので、脂肪の吸引が終わったら穴の部分を縫合して手術は終了です。

大きな手術というイメージも強い脂肪吸引ですが、実際には1時間もかからず手術が終わることも多いです。

アフターフォロー

アフターフォロー
脂肪吸引の手術が終わったら麻酔が覚めるまで、お客さんには安静にして頂いてモニター類はつけたままにしてバイタルをチェックしていきます。

意識が戻って水分が取れる状態になったら、内服の痛み止めも早めに飲んでもらうと良いですね。

点滴から痛み止めは注入されていますが、意識が戻った時から痛みを訴えるお客さんは多いため、痛み止めを内服することで精神的に落ち着く方が多いです。

意識が戻って1~2時間ほどベッドで休み、歩いてお手洗いに行けるようになってきたら医師に確認して点滴を抜去していきます。バイタルにも異常がなければモニター類も外しましょう。

お客さんは朝から食事をぬいてもらっていて血糖値が下がっていることが多いので、飴やチョコレートなどを準備して食べて頂いたり、軽食を出したりすると転倒のリスクが減って安心です。

ふらつく事なくトイレに2~3回行くことができれば、もう帰宅していただいても大丈夫です。帰宅にあたって、着替えや身の回りの整理を積極的にお手伝いしていきます。

お客さんがタクシーを利用する場合には、お客さんがタクシーを探して歩き回らなくて済むように手配をしましょう。

脂肪吸引の手術後は抜糸や経過観察の目的で、おおよそ術後1週間後に再診を行うことになるので、忘れずに次回の予約も取っておきましょう。

後片付け

後片付け
お客さんの見送りが済んだら後片付けに入ります。

手術道具の片付けや手術室の環境整備などについてはプロテーゼの記事のアフターフォロー後の部分で詳しく触れていますので、そちらも参考にされてみてくださいね。

脂肪吸引手術の後片付けで特徴的な部分は、取り出した脂肪の処理です。

人体から取り出したものですので、分別の区分としては血液と同じ感染性の体液になります。

間違っても普通の燃えるゴミに捨ててはいけませんので注意しましょう。

脂肪吸引に使用した機械の片付けやメンテナンス方法は美容クリニックごとにマニュアルがあるかと思いますので、その通りに丁寧にメンテナンスしていきます。

注意
脂肪吸引に使用される機械は数千万円もするような高価な機械ですので、壊さないよう取り扱いには十分に気を付けましょう。

ここまでで脂肪吸引の基本的なオペ介助は終了です。

ヨッピー

最後の仕上げとして、脂肪吸引をおこなう部位ごとに押さえておいた方が良いポイントなどを次から紹介したいと思います!

【部位別】脂肪吸引のポイント解説

お腹周りの脂肪吸引

脂肪吸引の1番人気部位がお腹周り

お腹周り(ウエスト)の脂肪吸引術は、脂肪吸引の部位としては1番人気の部位となっています。

男性女性に関わらずお腹周りの脂肪は誰でもありますし、ボディラインの中でもウエストは特に目に付きやすく、誰もが気になる部位です。

お腹周りの場合には皮下脂肪が比較的付きやすい部分のため、治療適応となるお客さんが多く、その点も施術件数が伸びている一因となっています。

脂肪吸引の概要記事でも書きましたが、脂肪吸引で吸引できる脂肪は皮下脂肪のみ。

男性の場合は、内臓脂肪で太っていることケースもあるため、脂肪吸引術の治療適応とならないこともあるので注意が必要です。

また、施術を受けにこられるお客さんの年齢層は10代~50代くらいまでの男女で、特に20代・30代の方が多くなっています。

また、脂肪注入による豊胸術の際の脂肪吸引の部位としても、お腹周りは太ももと合わせて人気の部位となっていますね。

太ももの脂肪吸引

セルライトも落とせる太ももは内出血や腫れに注意

太ももの脂肪吸引は女性から圧倒的な支持を得ている美容外科施術です。

女性にとって太ももは特に夏になると気になる部分ですし、セルライトの凸凹した感じは他人から見てもあまり見た目は良くないですよね。

脂肪吸引ではセルライトや脂肪によるたるみを1度でスッキリと落とすことができるため、自己流のダイエットに失敗してきた女性から大変人気となっています。

太ももの脂肪吸引の場合も20代~30代くらいの女性が全体の90%を占めています。

お腹の脂肪吸引とは異なり、太ももは日常生活でも露出する部分なので、看護師は内出血や腫れに特に注意が必要です。

美容クリニックによっては腫れ・むくみ予防にサポーターなどを準備しているところもあります。

しかし、サポーターを装着しての日常生活は夏場には暑く辛いので、手術の時期としては秋・冬が圧倒的に人気となっているのも太ももの脂肪吸引術の特徴ですね。

お尻の脂肪吸引

太ももの脂肪吸引とセットで受けることが多いお尻

お尻の脂肪吸引は太ももに次いで若い女性に人気の部位で、太ももの脂肪吸引とセットで施術を受けるお客さんが多いです。

お客さんはお尻のボリュームが気になっている20代~30代の女性が大半。

お尻の場合は腫れや内出血がでた場合もガードルなどでサポートがしやすく、衣服を着ていれば目立たないため、お仕事のお休みが取りづらい忙しい方にも人気の施術ですね。

二の腕の脂肪吸引

二の腕は最初にトライする部位として人気

二の腕の脂肪吸引はお腹や太もも等の脂肪お吸引術と比較すると症例数は少なくなりますが、若い女性を中心に根強い人気を持つ施術です。

二の腕は脂肪が一度定着すると痩せにくいことで知られており、部分痩せが難しい部位です。

そのためメソセラピー(脂肪溶解注射)や脂肪吸引術を利用してダイエットする方が多いです。

お腹や太もも等の脂肪吸引術と比べると、二の腕は小さいパーツなので施術費用は安く抑えられます。

お客さん

脂肪吸引にチャレンジしてみたいけれどいきなりお腹等に挑戦するのは不安・・・

という方が、手始めに二の腕の脂肪吸引にトライするケースも多いですね。

施術を受ける時期は夏以外が多く、上着や長袖でダウンタイムを過ごす方が多いです。

顔の脂肪吸引

費用やダウンタイムから人気のない顔の脂肪吸引

顔の脂肪吸引は他の部位と比較するとやや特殊で、症例数としてはかなり少なくなります。

顔が大きいことでお悩みの場合、

  • 骨格
  • 筋肉
  • 脂肪
など様々な原因が考えられます。

その中でも骨格や筋肉が原因で大顔となっている場合には、今回の脂肪吸引術の治療対象から外れます。

脂肪が原因で大顔となっていると診断された場合には、メソセラピー脂肪吸引の治療適応となりますが、大半のお客さんがまずメソセラピーでの治療を選択されます。

理由はやはり脂肪吸引よりメソセラピーの方が施術費用が安いという点ですね。

他にも、脂肪吸引のダウンタイムの長さも、顔の場合はかなりネックとなってきます。

顔以外の他の部位であれば衣服で隠したり、サポーターを巻いたりしてダウンタイムを過ごすことができますが、顔の場合はそうはいきません。

顔の脂肪吸引を行う場合、ダウンタイムは短くとも2週間ほどはあるとみて、お仕事等はお休みしていただく必要があります。

ヨッピー

お客さんによってはほとんど腫れが出ないことも稀にありますが、個人差が大きいです。

メソセラピーの方が手軽で休みも必要ないことから、顔のダイエットとしては圧倒的に人気ですね^^;

顔の脂肪吸引を受ける方の年齢層は20代~50代くらいまでの男女ですが、症例数としては多い美容クリニックでも年間十数件といったところです。

過去に、看護師の私自身が携わった件数は4〜5件ぐらいですね。


ここまで読んでみてある程度理解してもらえたら、あとは転職先の美容クリニックで模擬研修や実践経験を積んでいくのみ。

慣れればそこまで難しくはないので大丈夫だと思います!頑張りましょう^^