こんにちは、美容看護師として働くヨッピーです^^
前のページで、美容クリニックの営業ノルマとインセンティブについて大まかに解説をしました。
読んでいない人のために簡単におさらいすると、
- 多くの美容クリニックでは、看護師個人に営業ノルマはない
- クリニックの売上目標の達成を全員で目指す
- 目標を達成するとみんなにインセンティブ(報奨金)が配られる
というものです。
ここでは、その営業ノルマとインセンティブ(給与やボーナスへの影響)について、より具体的に事例を挙げて紹介していきたいと思います。
【1】大手【2】個人経営【3】地域密着の中規模美容クリニックという感じで個別に紹介しているので、転職を考えている美容クリニックの規模を頭に置きながら、読んでみてください!
ヨッピー
- 【記事1】【看護師にノルマはあるの?】美容クリニックの営業ノルマとインセンティブ
- 【記事2※この記事】3つの事例【美容クリニックの営業ノルマ】看護師の給与・ボーナスへの影響は?
- 【記事3】美容外科/美容皮膚科クリニックの営業ノルマに関するまとめ【向き合い方のコツを紹介】
Contents
【事例1】大手の美容整形外科クリニックA
美容整形外科クリニックAの売上目標(営業ノルマ)
美容整形外科Aは、全国展開している業界最大手の美容整形外科の1つで、毎月の各分院の売上目標金額は数千万円~億単位にのぼります。
分院ごとに売上を競っていて、売上達成率が上位の分院には月ごとに表彰が行われ、看護師にも売上に応じて一定のインセンティブが支払われます。
インセンティブの金額はかなり大きく、月5~10万円以上になることもあります。
ヨッピー
美容整形外科Aではお客さんへのカウンセリング営業はすべて医師とカウンセラーが行っており、看護師はオペ室での手術介助とレーザー脱毛の施術のみを専門に行います。
看護師がお客さんに対して施術を売り込むことは基本的にしなくてもOKですが、オススメの施術などをお客さんに質問されることがあれば、看護師が説明して契約につなげる事もよくあります。
売上目標(営業ノルマ)を達成するとどうなるの?
先ほど書いたように院全体の売上目標を達成した場合には、看護師にも一定のインセンティブが支払われます。
ですが、その割合は医師やカウンセラーと比較すると少なめの設定。
逆に、医師やカウンセラーには個人個人で売上ノルマが設定されており、達成できなかった場合には減給されます。
看護師の場合は個人のノルマはないため、売上が低くとも減給の対象とはなりません。
給料やボーナスへの影響は?
看護師へのインセンティブの支払いには明確な計算式が決められています。
まず、インセンティブの支払いは、売上目標の90%以上を達成した場合のみです。
そして具体的には、以下のようなパーセンテージごとのインセンティブ表が存在します。
美容クリニックAのインセンティブ表
売上目標達成率 | 月給上乗せ分 |
---|---|
90% | 10% |
100% | 20% |
110% | 30% |
120% | 40% |
表の見方についてですが、
- 売上目標の90%を売り上げた場合⇒基本給の10%を月給に上乗せ
- 目標の100%を売り上げた場合⇒基本給の20%を給与に上乗せ
という形で、MAX40%を上限にインセンティブが支払われます。
ある月の売上目標が7,000万円で、売上目標の100%(つまり7,000万円)を売上げた場合
基本給36万円の看護師であれば・・・
=基本給の20%が月給に上乗せされる
↓
インセンティブの金額は基本給36万円×20%
=7万2,000円
↓
つまり、この月のお給料は36万円+7万2,000円
=43万2,000円(+他の諸手当など)
という計算になります。
ある月の売上目標が7,000万円で、売上目標の120%(つまり8,400万円)を売上げた場合
基本給36万円の看護師であれば・・・
=基本給の40%が月給に上乗せされる
↓
インセンティブの金額は基本給36万円×40%
=14万4,000円
↓
つまり、この月のお給料は36万円+14万4,000円
=50万4,000円(+他の諸手当など)
これはあくまで、とある月の一例ではありますが、売上目標を達成することで看護師の月給も大幅にUPするため、看護師も他のスタッフとチームワークを組んで売上を伸ばせるように努力をしています。
しかし、実際に美容整形外科Aでは、元々の売上目標がかなり高く設定されているため、売上目標を達成してインセンティブが支払われることは、そんなにたくさんあるわけではありません。
看護師にインセンティブが付くのは、年間で3ヶ月(3回)あれば良い方だったりします・・・^^;
ちなみに、美容整形外科Aでは、売上目標の達成はボーナスには反映されません。
ボーナスの増減は職種に関わらず、個人の評価によって決定されます。この個人の評価には、売上目標のように数字による明確な基準はありません。
その看護師個人の
- 看護技術力
- コミュニケーションスキル
- 年齢
- 勤務経験
- 勤続年数 など
により総合的に判断されますが、基本的には勤続年数が長いほどボーナスも高くなっていく傾向にあります。
【事例2】個人経営の小規模美容皮膚科クリニックB
美容皮膚科クリニックBの売上目標(営業ノルマ)
美容皮膚科クリニックBは、従業員が医師、看護師、カウンセラーを合わせて10名程度、個人で経営している小さなクリニックです。
ここでは看護師個人に売上目標(営業ノルマ)が設定されています。
このクリニックは院長が経営者であり、クリニック全体としての売上目標と看護師個人の営業ノルマは、全て院長が決定していました。
美容皮膚科クリニックBは保険診療と自由診療の両方を扱っており、看護師に売り上げのノルマが課せられているのは自由診療の領域のみです。
看護師はレーザー治療や脱毛といった施術に入った際に、さりげなくお客さんに別の施術も勧めます。カウンセラーのように、カウンセリングルームで座って営業することはありませんが、日々の看護業務の間に営業業務を行っていきます。
看護師の売上目標(営業ノルマ)
美容皮膚科クリニックBで看護師1人あたりに課せられる営業ノルマは、施術の契約数ではなく売上金額(契約金額)で設定されています。
そのため低料金の施術(ほくろの除去など)ではなく、高額の施術(全身脱毛やレーザー治療のコース)の契約を勧めていかなければ、ノルマの達成は難しいです。
看護師の勤務年数などによっても差はありますが、具体的なノルマの設定金額は月に30万~60万円ほどが目安となっています。
美容皮膚科クリニックBで全身脱毛の1年間コースを契約した場合の料金は70万円、美肌レーザー治療の半年コースであれば料金は20万~60万円です。
このことから、コースの施術を1ヶ月に1~2件ほど契約できれば、ノルマを達成することが大体できます。
また、このクリニックBでは、1人のお客さんに対して毎回同じ看護師が施術を行う「患者担当制」で脱毛やレーザー治療を行っています。
なので、担当のお客さんと看護師は親しくなりやすく、信頼関係も構築しやすいという状況にあります。
コースで施術を受けているお客さんの場合は、短くとも半年以上継続して美容クリニックに通院するので、その間にまた新たに別の施術を勧めて契約を取っていくというのが、看護師のオーソドックスな営業方法となっています。
売上目標(営業ノルマ)を達成するとどうなる?
個人の営業ノルマを達成した月には、看護師に一定のインセンティブが支払われます。
営業ノルマを達成できなかった場合には、特に減給はありません。
また、美容クリニック全体の売上目標を達成した月が年間で7ヶ月以上あった場合には、年に1度の社員旅行(費用は交通費・宿泊費ともに院長負担)が国内旅行から海外旅行にランクアップします。
この海外旅行を目標に、スタッフ全員が一丸となって協力し売上アップに取り組んでいるため、職種を問わずスタッフ間の仲が良く、職場の雰囲気が良いことが美容皮膚科クリニックBの長所です。
看護師にも営業のノルマはありますが、そのことによってクリニックの士気が上がり、良い効果をもたらしていると言えます。
給料やボーナスへの影響は?
個人の売上目標を達成した看護師には、一律で月1万円が給与に上乗せされます。
また、半年ごとのボーナスは評価期間が5月~10月と11月~4月の2つに区切られており、各期間で個人の売上目標を達成した月が4ヶ月以上あれば、次のボーナス時に2万円がプラスされるといった仕組みになっています。
【事例3】地域密着型の中規模美容外科クリニックC
美容外科クリニックCの売上目標(営業ノルマ)
美容外科クリニックCは、とあるエリアに1つの本院と3つの分院を持つ、地域密着型の美容整形外科です。
本院・分院共に各クリニックそれぞれで毎月の売上目標金額が決まっており、お客さんが多く見込めるエリアのクリニックであれば、その分、高い金額に設定されています。
美容外科クリニックCでは看護師個人には特にノルマは設定されていません。しかし、看護師も他のスタッフと共に売上UPに力を入れています。
各クリニックの売上目標は、月単位で行われるキャンペーンと連動しており、キャンペーンの対象となる施術にはさらに個別の売上目標が設定されます。
例えば、ヒアルロン酸の施術キャンペーンを行っている時期であれば、1つの院において、全施術の売上目標が1,200万円、その中でヒアルロン酸施術単体での売上目標は300万円というような感じです。
他にも、脂肪吸引や豊胸など単価の高い手術のキャンペーンを行う月には、それと連動して売上目標も高くなり、1つの院における1ヶ月あたりの売上目標金額は3,000万~4,000万円程になります。
さらに、ゴールデンウィークやお盆、お正月などの繁忙期にはその時期ごとに売上目標が設定されます。例えば、ある年のゴールデンウィークの売上目標金額は、4月29日~5月6日までの8日間で2,000万円でした。
キャンペーンや時期ごとに細かく売上目標金額が設定されていることが美容外科クリニックCの特徴となっています。
売上目標(営業ノルマ)を達成するとどうなる?
各院ごとに売上目標を達成した際には看護師にもインセンティブがつきますが、大幅に達成できなかった場合には看護師にも減給があります。
最初に書いたように、看護師個人にノルマは無いものの、売上が悪くなると全員の給与・賞与に影響が出るため、1人1人の職員が高い意識を持って売上を立てることを目指しています。
ノルマこそありませんが個人の売上が低いと全体の足を引っ張る形になるため、暗黙の了解で「今月は1人あたりこれくらいの目標金額を売り上げましょう」という認識ができあがっています。
給料やボーナスへの影響は?
各院ごとに全体の売上目標を達成した月には、目標金額から100万円売上がUPするごとに、看護師1人につき1万円が月給に加算されます。
美容クリニックCのインセンティブ表
売上金額 | 月給上乗せ分 |
---|---|
目標金額+100万円 | 1万円 |
目標金額+200万円 | 2万円 |
目標金額+300万円 | 3万円 |
目標金額+400万円 | 4万円 |
目標金額+500万円 | 5万円 |
売上目標が3,000万円の月に、実際の売上金額が3,250万円だった場合
また、各院ごとに全体の売上目標を500万円以上大幅に下回った場合、更にそこから100万円売り上げがDOWNするごとに、看護師1人につき5,000円が月給から引かれます。
美容クリニックCのマイナスインセンティブ表
売上金額 | 月給マイナス分 |
---|---|
目標金額-400万円 | マイナス無し |
目標金額-500万円 | -5千円 |
目標金額-600万円 | -1万円 |
目標金額-700万円 | -1万5千円 |
目標金額-800万円 | -2万円 |
売上目標が3,000万円の月に、実際の売上金額が2,400万円(目標より600万円マイナス)だった場合
目標金額からマイナス800万円というのは、よほどの営業不振などが無い限りありませんが、規定では上記の表のように決められています。
ボーナスについては明確な基準はありませんが、売上が良かった年の翌年は10~20%ほど賞与がUPし、売り上げが悪かった年の翌年は10~20%賞与がDOWNします。
転職サイトに登録することで、コンサルタントからそのあたりの情報をもらうことができるので、その上で応募するかどうか判断するようにしましょう。
コチラのページで転職サイトを紹介しているので良かったら参考にしてみてください。
売上目標が給与やボーナスに与える仕組みを把握することが大事
美容クリニックの営業ノルマとインセンティブについて、事例を交えながら詳しく書いたので、かなり具体的にイメージできたと思います。
3つの事例からもわかるように、看護師個人のノルマの有無に関わらず、減給が無いことやクリニックの雰囲気などが、働きやすさを決める上ではとても大事なんですよね^^
看護師個人にノルマがあるかどうかを気にする転職希望の看護師さんは多いですが、個人にノルマがあったとしてもそれが大きな負担になるとも限りません。
事例2(個人経営の小規模美容皮膚科クリニックB)の場合、看護師個人にノルマは課せられているものの、ノルマ達成できなかった時の減給はなく、あるのは達成時のインセンティブだけです。
逆に、事例3(地域密着型の中規模美容外科クリニックC)の場合は看護師個人にノルマはありませんが、全体の売上が悪いと給与やボーナスが減ってしまうなど、与える影響が大きいため、結局は個人個人が売上UPに尽力しなければなりません。
このように、ただ単に「看護師個人にノルマがあるか否か」が大事なのではなく、「売上目標の達成・未達成がどのように給与やボーナスに影響を与える仕組みになっているか?」という点が問題の核になっているケースが多いのです。
つまり、「ノルマ無し」と求人情報に書かれていても実際はノルマがあるのと同じようなクリニックもあれば、「ノルマ有り」と求人に書かれていても実際は看護師にそこまで負担の無い美容クリニックもあるということですね。
そのことに注意しながら情報収集しつつ、美容クリニックを選ぶことが大事です。
求人情報に書いてある情報の字面だけを見て、その美容クリニックの良し悪しを判断することは、時に重大なミスとなりえます。
実際の現場はどうなっているのか?転職コンサルタントから得た美容クリニックの情報を1つ1つ精査しながら、求人情報だけを見て早とちりしないように気をつけましょう!
オススメは未達成でも減給などが無い美容クリニック
もし私が美容クリニック転職希望の看護師さんにオススメするとすれば、事例1(大手の美容整形外科クリニックA)と事例2(個人経営の小規模美容皮膚科クリニックB)の美容クリニックです。
事例1(全国展開大手A) | 事例2(個人経営小規模B) | 事例3(地域密着中規模C) | |
---|---|---|---|
看護師個人 | ノルマ無 | ノルマ有 | ノルマ無 |
目標金額達成 | インセン有 | インセン有 | インセン有 |
目標未達成 | 減給など無 | 減給など無 | 減給など有 |
事例1・事例2のようなノルマの仕組み、端的に言うと「未達成でも減給などが無い仕組み」であれば、営業に自信のない看護師さんも働きやすいと思います。
ヨッピー
(私も含めて)多くの看護師さんが「ノルマなんて嫌だな」とか「営業は私には向いてない」とポジティブには思っていないものです^^;
事例2のような看護師個人にノルマが有る病院は、転職希望の看護師さんからは敬遠されがちですが、必ずしも「ノルマ=大変・辛い」ということではありません。
営業やノルマは確かにストレスとなる場合もありますが、給与やボーナスUPなど看護師にとってメリットとなる場合もあるということを覚えておいてくださいね。
インセンティブの割合が大きい美容クリニックは微妙・・・
逆に、目標未達成で減給になる事例3(地域密着型の中規模美容外科クリニックC)や、今回の3つの事例にはありませんが、給料の中でインセンティブが大きな割合(給料の2割以上)を占めているような美容クリニックはオススメしません。
インセンティブの割合が高い美容クリニックに入職してしまうと、どうしても自分の給料のために、必要のない高額な施術をお客さんに勧めたりするようになってしまいます。
こうなってくると
- 何のために頑張って看護師の資格を取ったのか?
- 自分がしたかったことは、こういうコトなんだっけ?
と疑問に思う時が必ずくると思います。
なので、転職時には給与の中に占めるインセンティブの割合についても、きちんと確認しておいた方がいいです。
自分ではちょっと聞きづらい内容だと思いますので、転職サイトを利用してコンサルタント経由で聞いてもらいましょう。※転職サイトについてはコチラで紹介しています。
「どうしても私は営業が不安!インセンティブという仕組みに馴染めない!」という方であれば、それらが無い美容クリニックももちろんあります。そういった点を軸に転職活動をするのもアリだと思いますよ^^
ヨッピー